ハワイでしか作ることのできない蜂蜜。ハワイ島「Big Island Bees」を知っていますか

Instagramに投稿された、Big Island Beesのオヒアレフアハニーの瓶の写真。 / Screenshot of an Instagram post featuring a jar of Big Island Bees Ohia Lehua honey.

ハワイのお土産としてすっかり定番になった「はちみつ」。でも、スーパーやABCストアに並ぶはちみつの多くは、大量生産のために加熱・ろ過され、風味や酵素が失われているものも少なくありません。

もし本当にハワイらしい一本を探しているなら、選んでほしいのは非加熱・非ろ過の「生はちみつ(Raw Honey)」です。その代表格が、ハワイ島で50年以上続く家族経営の養蜂園「Big Island Bees」です。

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ジョージア州から来た頑固な養蜂家

Big Island Beesの物語は1972年、ジョージア州ハヒラで養蜂業を営んでいたジム・パワーズ氏が、ハワイ島に自身8番目、そして最後の養蜂事業を興したことから始まります。頑固で誇り高かったという彼は、コネチカット州よりも広いこの島の、一年中花が絶えない自然環境に大きな可能性を見出しました。

1987年、義理の息子であるガーネット・プエット氏が事業を継承し、一族4代目の養蜂家に。しかし2000年代に入ると、安価な中国産はちみつの流入や気候変動、寄生ダニの蔓延によって業界全体の価格が崩れ始めます。この逆風の中、2004年からガーネット氏の妻ウェンディさんが、地元のファーマーズマーケットで自社ラベル「Big Island Bees」としての直販をスタートさせました。

高価な充填設備がなかったため、彼女は手作業で巣箱から瓶へとはちみつを注いだといいます。加熱もろ過もしない、シンプルな作り方——それが結果的に、このはちみつ本来の風味を守ることにつながりました。

花によって表情を変える、3つの単一花はちみつ

Big Island Beesの魅力は、複数の花が混ざった「百花蜜」ではなく、単一の花から採れた「単花蜜(モノフローラルはちみつ)」を扱っている点にあります。同じはちみつでも、蜜源の花によって色も風味もまったく異なります。

オヒアレフア(Ohia Lehua)
年間通してハワイ島ではどこかしらで見ることのできる赤い花ですが、他の色も存在します。ハワイの固有種であるこのオヒアレフア、ニュージーランドのポプツカワと兄弟種と言われています。レフアの花から採れる、世界でも屈指の希少なはちみつです。ハワイでしか生産できない、白く結晶化した、なめらかで塗りやすい質感が特徴で、控えめで繊細な花の香りが際立ちます。紅茶の味を邪魔しないので、トーストにはもちろん紅茶に合わせるのもおすすめです。

ウィレライキ(Wilelaiki)
南米(ブラジルなど)が原産で別名クリスマスベリーと呼ばれる木から、晩夏から秋にかけて採れるはちみつ。輝くような琥珀色で、後味にほのかなスパイシーさを感じます。チーズや野菜、肉料理とも相性が良く、贈り物にも喜ばれる一本です。

マカダミアナッツ(Macadamia Nut)
原産国はオーストラリアです。島の南東部にあるマカダミアナッツ農園で、冬から早春にかけて採れる、色の濃いダークなはちみつ。チョコレートを思わせる香りと、なめらかでとろけるような口当たりが特徴で、パンケーキやフルーツにかけるのにぴったりです。

小話:初めての一本には、あえてフレーバー付きを選ばない

Big Island Beesのラインナップには、レフアハニーにバニラビーンズを合わせた「Vanilla」や、セイロンシナモンを合わせた「Cinnamon」といった、フレーバー付きの商品も存在します。これらも十分に美味しいのですが、もし初めてBig Island Beesのはちみつを手に取るなら、まずは何も混ざっていない単一花本来の味を選ぶことをおすすめします。

バニラやシナモンは、いわば「応用編」。ハワイ島の土地とミツバチが作り出した、レフアやウィレライキ本来の風味をまず知ってから、2回目以降にフレーバー付きへと手を伸ばすのが、このはちみつを一番楽しめる順番だと思います。

白いはちみつ、褐色のはちみつ——色の違いに隠された科学

3種類のはちみつを並べてみると、色合いがまったく違うことに気づきます。これは着色料によるものではなく、蜜源の花によって糖の組成が変わることで生まれる、自然な違いです。

白いオヒアレフアはブドウ糖(グルコース)の割合が高いため、常温でも結晶化しやすく、なめらかなクリーム状になります。一方、褐色のウィレライキやマカダミアナッツは果糖(フルクトース)の割合が高いため結晶化しにくく、透明感のある琥珀色の液体を保ちます。

実はこの糖の違い、味わいだけでなく体への吸収のされ方にも関わっています。花の蜜に含まれるショ糖は、ミツバチが持つ酵素によってブドウ糖と果糖に分解されます。果糖はブドウ糖に比べて体内でゆっくりと代謝されるため、はちみつは砂糖に比べて血糖値の上昇が穏やかだとされており、なかでも果糖の多い褐色系のはちみつは、白いはちみつよりもさらに血糖値への影響が緩やかな傾向にあります。

さらに、はちみつには酵素の働きによって微量の過酸化水素が生まれ、虫歯の原因菌に対する抗菌作用を持つことも研究で示されています。もちろん糖分であることに変わりはありませんが、精製された砂糖に比べると、歯にとって優しい性質を持った甘味料だと言えるかもしれません。

そしてもう一つ、はちみつには「ほぼ腐らない」という驚くべき性質があります。水分が少なく酸性度が高いため微生物が繁殖しにくく、古代エジプトの墳墓から3000年以上前のはちみつが、今も食べられる状態で発見されたという逸話が知られています。ただしこれは密閉して保存した場合の話で、湿気を吸うと発酵してしまうこともあるので、蓋はしっかり閉めて保管するのがポイントです。

どこで手に入る?

ホールフーズやハワイ島のKTAスーパーマーケットなど、ローカルスーパーでも購入可能です。パッケージ裏面の「Raw Honey」の表記を確認しながら選んでみてください。もし現地で買い逃してしまっても、公式サイトから直接注文することもできます。

大量生産のはちみつが並ぶ棚の中で、こうして丁寧に手作業で作られた一本を選ぶことは、ハワイ島の自然とその土地に根を張ってきた家族の物語ごと持ち帰ることでもあります。

参考文献・出典

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